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Home > フローリストインタビュー > NO.013 古賀朝子「Fleur de Chocolat」


Fleur de Chocolat/古賀朝子
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― お花を始めたきっかけ ―
中学校ぐらいの時から美術がすごく大好きで、絵を描くのがすごい好きだったんですね。高校に入ってから美大というのがあるというのを知って、1年の終わりくらいからアトリエに通いだしたんです。 その頃は毎日のように絵を描いていて、本当に大好きだったんですよね。将来絵を描いて暮らせたら幸せだろうなと、そんな感じの生活をしていたのですが、受験の時に希望していた美大に落ちてしまったんです。
 
Fleur de Chocolat/古賀朝子
今回のインタビューは、フラワーデザイナーAlex Cambi氏と仲良しの「Fleur de Chocolat」の古賀朝子さんです
Photos : Yukiko Kobayashi / Yoko Ono
Audio-typing : Akemi Mori
その後も一浪して絵を描き続けたのですが、だんだん精神的に絵が描けなくなってしまって、結局自分からやめてしまったんです。その間何をしていいのか分からない時期が3年ぐらいあって、どうしようと思った時にお花を始めたんです。 もともと両親がお花がすごい好きだったり、子どもの頃からお花の存在がすごく身近にあったので、抱えていたもやもやした気持ちが癒されたんだと思うんですね。
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Fleur de Chocolat/古賀朝子
世田谷市場で花材を真剣に品定めします
  あと私は作ることがすごく好きで、やっぱりクリエイティブなところから離れられなかったというか。どこかでクリエイティブな環境にいたかったんですね。

― お花の勉強 ―

一年浪人して美大受験失敗した年の春すぐに専門学校にまるで絵から逃げるかのように入りましたが、その専門学校はビジネス系のお勉強のほうを優先した学校だったため、思うようにお花に触れることも出来ず、目標も見つけられないまま卒業し、就職しました。1年間OLという道に入ったのですが、でもそれも結局合わなかった。(笑)
中学生のころから、自分はオフィス勤務のお仕事は絶対合ってないというのを分かっていたのですが、なってみたらやっぱり合わなかった。(笑)そこからまた改めてお花の学校に仕事をしながら通いはじめたんです。
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「マミ川崎さん」のマミフラワースクールで初級〜中級まで習ったんですが、マミさんのスクールで、「あ、私はやっぱりフラワーが合ってる♪」と思いましたし、そこでは専門学校時代よりちゃんとお花に触れることができたので、「やっぱりお花の仕事がしたい!」と思うようになりました。それが21歳ぐらいの時だったと思うんですけど、一番最初はお花屋さんの仕事を覚えようと思って、自宅の近くのお花屋さんに、「スタッフを募集してないですか?」と直接自分の足で何軒か回って探しました。本当に普通のよく町にあるようなお花屋さんだったんですけどそこで勤めました。   Fleur de Chocolat/古賀朝子
その日の新鮮な花を見てインスピレーションを得ます
最初は、将来自分でお店を持とうとは思っていませんでしたが、お花屋さんで働いて1年ぐらい経ったころに何となく、27歳で独立したいなというビジョンが出てきました。そしてまた、2年ぐらいしてから、一応ブライダルもやってみようと。今までブライダルをしていないお花屋さんだったので仕事が全く分からなかったんですよね。
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Fleur de Chocolat/古賀朝子
市場から戻るとお花を水揚げし、開店の準備です
  なので今度はブライダル専門の学校に半年ぐらい通いました。そこのアシスタントや、お友達がフリーランスで独立をされたので、そのお手伝いをしながらブライダルの業務をひととおり学びました。その後、当初の計画通り、27歳ちょっと手前で独立しました。私は事前に「言っておく」タイプ(笑)。思ったことは言っておかないと実行できないからなんです。
だから休みを取るときも、ずっと前から言い続けておくんです。今回の1月の休暇の場合も、年末からずっとみんなに「私は1月に休みます!」と言っておきました(笑)
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― そして独立 ―
独立したのが27歳手前だったのですが、お店を開こうとしたときに年齢の事はまったく考えていなかったんです。独立を考えたときはお花を自由に触れなかったり・・・というもどかしさがありとにかく自分で仕事がしたい、お花が自由に触りたい。どうしたら・・・・と思いついたのがショップでたまたま周りに居た人たちがバーを経営している方だったりしたもので出来るかも!という単純な思い込みで開いてしまいました。後になって考えてみたらそういえばお花を始めた頃に漠然と27歳くらいで独立をしたいな・・・・と思って言っていたけれど、本当にしちゃったんだぁ。みたいな感じです。
<> Fleur de Chocolat/古賀朝子
Fleur de Chocolatの店頭にある手作りの看板
もともと木がすごく好きなので、お店の床に木を張ったり、天井に布をはったり色々なお友達に手伝ってもらいながら完成したお店です。 実はお店を開店すると決めてからもしばらく両親にも言えなくて、(笑) でもそのうち、家にどんどん大きなものが届くんですよ。お店用の置物とか。それを見た親が「これは何だ!?」と。でも「これは友達のものなの」とごまかしを言って。でも実は自分のお店のものなんですけどね。(笑)
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Fleur de Chocolat/古賀朝子
個性ある花瓶も各種取り揃えてあります
  私がお店を出すと知った時は両親にすごい反対されましたね。多分最近でしょうね、私が本当にお店を経営しているんだって納得してくれたのは。(笑) この間Fleur de Chocolatの7周年のパーティーをやったんですけど、その時に初めて両親を呼んで、多分ちょっとだけ安心してくれたかなと思います。

― 独立してから ―
私の場合は、誰か特定の先生の元について働いたことがないんですよね。また勤めていたお花屋さんも活け込みをしているようなお花屋さんではなかったので、お店を持ってから、業務を全部覚えた感じですね。やっぱり自分でやっているのと、人のお店でやっているのとは全く違いますし、本当に大きなお仕事はしたことがなかったんですね。
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私にお花のお仕事を依頼してくださる方がいても、本当にその時その時、一個一個覚えていくという感じで。私の場合は相談する人もいなかったのでそういうことがすごく大変でしたね。全て経験から得てきたと思います。20代のころって何か分からないことも、「分からない」って素直に言えなかったんですね。   Fleur de Chocolat/古賀朝子
店内のデコレーションは気に入ったものだけを置いて
あの頃は人から馬鹿にされたらいけないという思いがすごくあって、だから本当に分からなくても、「できます」と言って背伸びしている自分がすごく辛かったときもありますけど、自分のことなのですごく真剣に考えて対処するじゃないですか。今になって思えば、そうやって経験から覚えたのが良かったのかもしれません。そのぶん駄目になったら、自分に返ってくるし、すごい落ち込んだりもするけれども、やっぱり喜んでもらえた時は、すごく落ち込む分うれしかったり。
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Fleur de Chocolat/古賀朝子
市場で仕入れた花材を飾って開店です
  活け込みもあまり行ったこともなかったんですよ、だから何を持っていけばいいのか最初分からなくって(笑)。 本当にこのお花が1週間持つのかとか、それさえも全然分かっていないんですよね。活けたお花がすぐ駄目になったと怒られたり。疎遠になってしまったお仕事もあり、その中で長くお付き合いしていただいている方もいるのでとてもありがたいと思っています。仕入れも、自分一人でしたことがなかったので、何を仕入れていいのか、年末お花なくなっちゃったらどうしたらいいのだろう?みたいに本当に毎日が手探り状態でしたね(笑)
遅いんですけど最近ようやく、1年の流れを把握できるようになったんですよ。(笑)ようやくちょっと落ち着いて、余裕もでてきて、やっと物を考えられるようになったというか。それまではやっぱり常に不安というか、どうしていいか全く自信がないような状態でお店を続けていたんですよね。 思えば独立して最初の3年間は、あっという間に過ぎましたね。3年間の出来事は覚えてないんです。(笑)「苦労したことは何ですか?」と聞かれても、夢中だったので忘れちゃったんですね。大変だったことなど、結構忘れっぽいタイプなので。それが開店して3年経ったころに、自分の実力よりもお店の存在のほうが大きくなってしまった気がして・・・。

― 独立して3年目に初めてのパリ ―

この先どうしよう。自分はどういう方向に行ったらいいんだろうと考える時が来て、それではじめてパリに行ったんです私。フランス語を少しだけ習って、しかも1カ月ぐらいでいきなりパリに一人で行ったんです。海外旅行にツアーでなく、一人で行くのは初めてだったので、毎日泣きそうだったんですよ。それにほとんど道に迷って終わっちゃったんですけど(笑)それに行った時期が8月だったので、パリのお花屋さんはほとんど夏休みだったんです。(笑)
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でもそれがきっかけで、今度はお花のある時期に行こうと思って、確か7月ぐらいに行きました。 その時通ったパリの語学学校でフローリストライフでもおなじみのボ・クールの辰巳裕子さんとお会いして仲良くなりました。それで辰巳さんから斎藤由美さんや、Alex Cambi氏を紹介していただいたんです。 <> Fleur de Chocolat/古賀朝子
大好きなうさぎのショコラと
パリから帰ってきてからちょっとずつ自分の作るものが変わるのが分かりましたね。すごく微妙だと思うんですけど、選ぶお花がちょっと変わったり。でも人の真似はしたくないし、自分のテイストを出したいと思っているので、人に教わるっていうのをあまりしないのかもしれないです。見て、かわいいと思って、それを自分風にできたらいいなっていうスタンスです。
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Fleur de Chocolat/古賀朝子
午後のレッスンの風景
  ― スタイル ―
7年間の間に、テイストは変わらないんですけど、たぶん雰囲気が少しずつ変わってきていて、もうずっと来ていただいている生徒さんがいるんですけどその方に、「最初と雰囲気がちょっと変わりましたよね?」って言われました。やっぱり自分が感じることが少しずつ変わっていって、それがお店に反映されるんですね。それがお店を持つ面白さですし、お店と一緒に自分も成長している感じがします。より洗練されたというか……やっぱり年齢に、年相応というか(笑)。普段心掛けていることとしては、特別なことは何もしていないんですが、
お花そのものがきれいなので、お花を見ていたら自然にこうしてあげたいと思うんですね。あとは、時々他のフラワーデザイナーさんの、例えばアレックス・カンビさんや斎藤由美さんのデモンストレーションなどを見ることもすごく刺激になりますね。あとは自分自身の生活のペースを優先します。例えばお部屋をいつも綺麗にするとか、何かこう気持ちも頭も余計なことを考えていると、イメージが沸かない気がするのでそれはすごく気をつけています。いつも自分が気持ちいい状態でいられるようしています。それがお店に反映されてるかもしれませんね。

― フローリストになって良かったこと ―
もともとハマリ症なんですけど、それでもやっぱり7年間夢中にやってこれるものに出合えたっていうのはすごく幸せですし、自分がこうやって一つのものに一生懸命やっているので、すごくいい人に出会えるチャンスも多いですし、出会うお友達もすごく楽しい人が多いですね。
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また受験に落ちた時の挫折感がやっぱりあるからでしょうか。だから今回は自分からやめるのは絶対やめようと思っているんです。それもあったので7年間耐えてこれたのだと思います。
やっぱり、みんな自分が生き生きとできる場所というのはあるから。そこにぴったりはまれたのは、すごいラッキーだったなと思います。
  Fleur de Chocolat/古賀朝子店内は古賀さんの「好き」なものたちであふれています
また続けてみないと見えないことってあると思うんです。お花の技術だけではなく、違うところで気付くことが多いと。だから人間的にもちょっとは少し成長したと思います。それはフローリストになって良かったことです。

― 将来の夢 ―

大きな変化というのは、そんなに望んでいないのですが、その時その時に、やりたいことを常に出来る人でいたいなと思います。自分の気持ちに素直に。これがしたいと思ったらするという。したいことだけをする。楽しいことだけするというのが自分の中のテーマなので。このお店も好きなことだけしてたらこうなったっていう。本当にそれに尽きるという感じですね。
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Fleur de Chocolat/古賀朝子
お客様を待つお花たち
  お店の規模とかは別に今のところは全く考えてなくて、お仕事も少しずつ増えたらいいし、でも自分の見えない範囲のものがあまり広がるのも嫌だし、いいポジションでいたいというか。 すごくそれって難しいことだと思うんですけど、気持ちよく過ごせる中でお仕事があって、もちろん将来、子どもとお留守番とかしたい(笑)お絵描きしながら、「いらっしゃいませ」とか言って。できたら楽しいなあとか。

― 休日の過ごし方 ―
休日一人の時は割と静かに過ごしています。まずパターンが決まってて、午前中はお掃除して、お風呂に入って、午後は上達しないフランス語のレッスンなど。
夜はAlexの紹介で仲良しになったお友達夫婦のお家でご飯を食べたり・・・。軽く落ち込んだ時は速足で歩くとか。背筋を伸ばして歩いてみると結構すぐ、ポジティブに戻る。 今ある状況も全部自分で選んでいることだし、その状況を楽しむというか。今はこうやって一人でお店があって、自由にいろんなところに行ける状態ですけど、それでももちろん嫌なこともあるし、でもその中で100%楽しまなきゃって。3年後には違う状況になってるわけだし・・同じ状況かもしれないですけど。(笑)
Fleur de Chocolat/古賀朝子
■写真左−2008年1月、ローマに行って仲良しのAlex Cambi氏に会ってきました!
■写真中−ローマのAlex Cambi氏が勤めるお店「ティーローズ」
■写真右−鞄のデザイナーをしているお友達が革で作ってくれたショコラカードを添えたブーケ。ブーケはアトリエ時代から仲良くしているお友達が産休に入るので「今までお仕事お疲れ様」の気持ちをこめて贈ったミニブーケ。色々なお友達に支えられているから私も頑張れます。

― これからお花を始める方へのメッセージ ―
普通にお花って道を歩いててもあるじゃないですか。それを見て綺麗だなって思う心ってすごい大切だと思うんですね。やっぱりお花がある人生は豊になりますよね。
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私もお花がなかったら、今の楽しい気持ちとか、感動もないような気がしちゃうくらい、本当にすごい楽しいし、市場に行きますが、毎回お花を見て「すごい!綺麗!」と感動してしまいます。でもお花を買わなくても、普通に歩いてても、ちょっと下を見たら可愛いお花があったりとか、そういう些細なものを可愛いと思う気持ちを大事にしてほしいです。   Fleur de Chocolat/古賀朝子香りも濃く、色鮮やかなヒヤシンス
特にお花の仕事とか始めちゃうと、いろいろ「こうしたい、ああしたい」という気持ちがあっても、実際は自分の思うようにはいかなかったりすると思うんですけど一番大事なのは自分が楽しむことと、「好き」という気持ちじゃないでしょうか。それをすごい大切にしてほしいと思いますね。それはウエディング専門でやっても、ショップでやっても、お花の先生を夢見ても、やっぱり自分の中の「好き」が大事かと。「好き」がなくなったら、楽しくなくなっちゃうし、続けられませんし、もったいないですよ。
     

Favorites
[ 好きな色 ]
ボルドーや、深い紫、すみれ色。

[ 好きな花 ]
その季節の花。例えばチューリップの季節に、今日買ったスプリンググリーンが市場に出てくると「久しぶり♪」と声を掛けたくなります。やっぱりその季節を感じられるのってすごく素敵です。

[ 好きな料理 ]
ひじき

[ 好きな雑誌 ]
特定のものはないんですけど、レシピ本が好きです。お菓子やお料理のレシピの写真を見るのがすごい好きですね。

[ 好きな場所 ]
森。自然が沢山あって、人があまりいないところが好きです。

[ 好きな言葉 ]
お店を始めたころ、会う人会う人から「石の上にも三年」って言われたんです。(笑)それをいつも心に。石の上にも……いや6年6年。

From Editor
インタビュー当時は世田谷市場で待ち合わせ。市場で花材を無言で選ぶ古賀さんの姿は真剣そのもの。シリアスな横顔から、ひたすらお花と問答し、その花をどう活かすのかというクリエイティブなイマジネーションを使っているのが分かりました。今回は小野も同行させていただき、古賀さんの心地良い仕事と暮らしを垣間見ることができました。古賀さんのインタビューをしていて、自分も「好き」をもっと自分の周りに増やしたいと強く思いました。この度はスタッフのじゅんちゃんさま、レッスンにいらした生徒のみなさま。ご協力いただきまして誠にありがとうございました。
■写真左-古賀さんとお客様の用賀マダム。ご本人も素敵ですしお花を選ぶセンスも素敵です!
■写真右-レッスンを受けている皆さんも楽しそうでした

      〜 フローリストライフ編集長・小林夕希子 〜
Fleur de Chocolat/古賀朝子




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