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Home > フローリストインタビュー > NO.004 薄井美奈子

まるでフランスのような 中庭付きビンテージマンションで楽しそうに レッスンをしていたフラワースタイリストの 薄井美奈子さん。
お花はもちろん、インテリアから小物まで キラリと光るセンスの源は、 するどい観察力と様々な経験、 そして一冊の絵本に秘密が・・・

Photos : Takumi Sato
  ― 赤毛のアンの手作り絵本 ―

小学校5〜6年生の時に母が買ってくれた 「赤毛のアンの手作り絵本」という本があったんですね。 この本は、「赤毛のアン」の数々のエピソードにあわせて、 お料理の作り方・テーブルセッティング・手芸品などが 美しい挿し絵と写真で構成されたすばらしい絵本なんです。 その中にお花もありました。 フラワーアレンジも当時としては画期的だったんです。
  フラワーデザイナーの竹沢紀久子先生とか、お料理の城戸崎愛先生とか、 今となれば大先生と呼ばれる人たちがこの本を作ってらっしゃるんです。 ほんとにこれは、私の宝物です。 お料理はその時、 自分でも作ってみたりしていたのですけれど、 フラワーアレンジというものを初めてこの本で見て、 いつかこんな風に素敵にお花をアレンジしたい、 とこの頃からずっと思っていたんだと思います。 この本の中の夢のように素敵な世界に憧れて、 将来、家庭をもったらこの本に載っているような生活がしたいとずっと思っていました。

― ブーケつくって花嫁に渡す喜び ―

社会人になって時間に余裕ができるようになった時に 恵泉スタイルを教えてらっしゃる先生のフラワースクールに通うようになりました。 しばらくしてあるコンテストに送った作品が全部入選しちゃったんですよ。 それで、もしかして花でいけるかもって思いはじめました。 習い始めた時から、ウェディングブーケをつくってほしいという依頼が友達からありまして、 私の作ったブーケを晴れの舞台で花嫁に持ってもらえるがものすごい喜びだったんです。
  ― 天からの啓示 ―

その時期のちょっと前ぐらいの頃、フランスのスタイルに目覚め始めるんです。 最初についた恵泉スタイルの先生の所で師範を取ってしまった後、 テクニックよりも、もっとデザインを追求したい、と思った時に、 天からの啓示のように、”パリスタイル”という言葉がなぜか頭に浮か んだんですよ!それまでパリスタイルのお花を見た事も無かったのに! それで、パリスタイルを調べて自分の思っていたデザインはこれだ!と 思い、先生を探してパリスタイルの基礎やウェディングの装飾を勉強しました。 その先生が良くパリに行かれていたので、私も本場でパリスタイルを見たいと思って、 休暇を取ってはパリに行くようになりました。
その頃は、外資系の会社に勤めていたんですけど、 だんだん本気でお花をお仕事にしたいと思うようになりました。 会社の上司も私が花をやっていることを知っていたんです。 副業申請を出そうと思っていた矢先に、 知り合いにお花のプロデュース会社を紹介されて、じゃあそこと契約しましょうとなりまして、 それが具体的に会社を辞めるきっかけになりました。
 

― 飛び込み修行 ―

最初にフランスに行ったとき、 とある花屋さんに行くつもりで探しに出かけたんですけど その花屋さんがしまっちゃってたんです。 でもそこに行く途中で別の花屋さんを見つけて そっちの花屋さんの方が気になったんです。 そこのディスプレイがとても素敵で 思わずトントンと門を叩いたわけですよ。 「私は、何日〜何日までパリにいるんだけれど、お花を仕事にしたいと思っている。 パリにいる間に教えてくれないでしょうか」と ほんとに文字通り飛込みだったんですけど。
  そしたら、あっさりフローリストの方が「いいよ」と言ってくれたんです。 後から知ったんですけど、六本木ヒルズの花屋さんにデザイン指導に来ていた人で、 日本語そんなに話せる人ではなかったんですけど日本が大好きだったようです。 私がはたしてフランス人だったら、OKだったどうかわからないけど、 彼が日本びいきだったということもあったんだと思います。 で「ちょっと作ってみてください」って言われて花束を作ってみたわけですよ。 そしたら「じゃあいいよ」って言って、ランジスっていう花市場があるんですけど 明日5時にお店で待ち合わせて、ランジス行こうねって連れてってくれたんです。
 

― 花屋一家 ―

お店のディスプレイを見ただけで直感で飛び込んだ店だったんですけど、 なんとフローリストの彼は、フランスカップでチャンピオンの ジュリアン・トネリエだったんですよ。 ほんとに彼とは、運命的な出会いでした。 ジュリアンのお兄さんは、クロードカンコーという 有名店のオーナーで、お父さんもお花屋さんですから花屋一家ですね。 ちょうどジュリアンがバカンス前で暇だったというのがあるんですけど つきっきりで、ブーケの作り方を全部教えてくれたんです。 朝から晩まで。

それ以来、パリ行くたびに彼のところに顔を出して 手伝ったりして、こきつかわれてますけど。 そうやって一件お店に入ってスタージュ(研修)しましたったてことがあると 他のお店とかでも結構使ってくれるんですよ。 斎藤由美さんのお店も含めて3件ぐらい、フランスに行ったら手伝わせてくれるところができました。 フランスって遠い国だと思っていたんですけど、 お花をやって、フランスがすごく身近になりました。
  ― さまざまな経験 ―

日本に帰国後は、プロデュース会社さんと仕事をしていて 大手の食品会社さんのイベントで東京・神戸・名古屋などで 出張ベースのイベントのお花を作ったりとか、 芸能関係でプレゼント企画のお花だとか 携帯サイトでお花を贈りましょうという商品企画だとか いろいろやりました。 アンリシュロフさんていうテーブルコーディネーターの方の 撮影の時、花からテーブルから全部いっしょにつくったり。 いろんな仕事をたくさんやらせてもらえて、 本当におもしろかったです。

ジュリアンとの出会いや、フランスのいろいろな人との交流があります。 いままで勤めていた外資系の会社というのがアメリカ系の会社でしたから アメリカ人のつきあいっていうのは、慣れていたんですけど、 フランス人てとっつきにくいと思ってたんです。 ところがフランス人は、一回打ち解けるとものすごく義理堅くって、 絶対に裏切らないところがあるんですよ。 だから花を通して、フランス人やフランス文化というのが ものすごく身近になってきたことは、とってもよかったと思います。  

ただ、時間的な拘束もものすごかったんです。 クリスマスイブ前日の深夜からビル全部を装飾して、ホテルで仮眠 を取ったあと、翌日は朝からそのホテルの飾り付けとかね。 ほんとに自分の作りたいフランスのスタイルと プロデュース会社が求めているものが違うっていうのがあったり。 それに家のことまで犠牲にしたくなかった。 だから、フリーとして独立しました。 でもすごくいい経験ができたと思います。   ― アトリエの名前 ―

ジュリアン・トネリエのお店の名前は、「ジュリアン」といいます。 「今度独立してアトリエやろうと思っているんだけど、名前何がいい?」 ってジュリアンに相談したんです。 そしたら、あなたのスタイルなんだから「mina」にしなさいって。 「minako」だと日本人の名前なんだけど、「mina」だと世界中に女性の名前であるんですよね。 それに「mina」って、非常に耳に心地よいからいいよって。 それで「mina」という名前になりました。

  ― 観察力 ―

アレンジメントのインスピレーションは、 常に洋書を見たり、映画からヒントを得たりしています。 「花様年華」という香港映画に出てくる女優さんがいろいろなチャイニーズドレスを 着ているんだけれど、その色あいとかね。 あと、ヨーロッパ映画の冷めた色合い、 シックで大人色な色合いが好きですね。 庭で咲いているお花の咲き方を見ると花に表情があるのですが それもアレンジを作るときの参考になります。 アイビーを1本見たときとか下にたれる性質があるとかね。 下にたれる性質のものだから今日は下にたらしてみようかとかしてみると それがデザインになったりします。

また、日頃いろいろなものを観察しています。 ケーキ屋さんのラッピング一つでも これをお花に置き換えたらどうだろうとか常に考えていますね。 パリに行くとそれこそいっぱい発想が浮かびますよ。 フランスの絶妙な色使いは、やっぱり特別かな〜 フランスに行かないとどうしてもアイデアが枯渇したりすることがあるから フランスには、定期的に行きますね。   ― 発想の原点 ―

お仕事以外の時は、料理をして過ごしています。 主人も私も食べることが好きで 料理を作ることも好きですし食べに行くことも好きです。 食べに行って食べたものがおいしかったりすると 家でつくったりしています。 発想はもともとここ(赤毛のアンの手作り絵本)なんです。 今の私はフランススタイルに影響を受けていますが、 料理もテーブルまわりも、インテリアも、 子供の時にこの本で見た夢のような世界への強い憧れが原点だと思います。
  欧米の家庭料理の原点や、フラワーデザインの基礎等が詰まっていて、 今でも古さを感じさせない本当に素晴らしい本だと思います。 もりつけなんかもすごく素朴なんだけれど家庭的なあたたかみがある。 この間、ハーブの生産をしている人と話をしていた時に 彼女が「赤毛のアンで本じゃなくて、絵本ですごいのがあったのよ」って 言って「もしかしてこれ」って言ったら「これこれ!」って言って すごいシンクロだったんです(笑) こんど彼女とこの本に出ているシチュエーションを 彼女のハーブの料理と私のお花のアレンジメントを使って なんかやってみたいねって企画してるんです。

― 花の香りを踊って表現 ―

あと、余暇にやっていることは、フラダンス。 お花の香りがいいな〜と思った時、花で表現することはあっても 自分で表現することはないんですよ。 フラダンスは「お花の香りがいい香りなの〜」って踊って表現するんです。 発散できるわけですよ。 フラワーデザイナーやっている人でフラダンス習っている人、 結構多いですよね。
  ― ロハス邸 ―

センスを磨く為には、美しいものをたくさん見ること。 自分のお家の中にほんとに好きなものしか置かない。 常にある環境が自分をつくると思うんですよね。 好きなものを大事に選び取って、それを自分の手元に置いて その空気の中で暮らしていくことっていうのが 最終的には感性を磨いていくのかな。 あと、この家(ビンテージマンション)に来てからなんですけど テレビ捨てちゃったんです。テレビがないんですよ。

フラダンスではレイを作りますけど、 絶対に土に返る材質じゃないものは使わないです。 ワイヤーなどは使わないで、ラフィア(植物の繊維のひも)を使います。 そしてレイが枯れたら、全部土に埋めて返すわけです。 すごくロハスなの。 私たちフラワーデザイナーは、 お花をたくさん扱っているから、ややもすると ちょっと余ったお花なんかを生ごみで捨てちゃったりするんですけど 今はお庭があるから、できるだけ土に返そうと思って そういうスピリットを教えてくれるのがフラダンスかな〜  

テレビなくしてみようと思ったきっかけというのが ここに来るといつも自然を見てるでしょ。 そうするとね、ぜんぜんテレビがほしくなくなっちゃうんですよ。 まあ、必要な情報はインターネットやラジオでとれるし、 テレビがないと五感が磨かれるような気がする。 実際本当にそうらしいんですよ。 脳って常に刺激を求めていて、 テレビがあればテレビの刺激で満足しちゃう。 逆に何にもなければ何にもないところから感じ取ろうとするわけ。 そうすると、自然の中の色だったり音だったり、 特にここの場合は鳥の声が聞こえたり・・・ そういうことが全部、五感を研ぎ澄ますんですよ。   そうすると、いままで見えてこなかったものが見えたり、 聞こえなかったものが聞こえたり・・・ ほんとにロハス邸といえばロハス邸ですけど、 結構そういうことって、センスを磨く原点として大事なんじゃないかな。 今、浄化中って感じかも。 フローリストになってからは、 自分の心の欲するままに行動するようになったかな。 やっぱり会社員の頃は、拘束時間が長いですから なかなか心が欲することができなかったですよね。 心が欲することがここ(赤毛のアンの手作り絵本)でしたらからね。 フローリストになってようやくスタートラインに立てたと思いました。 私の場合はフラワーデザインだけでなく花を通しての美的生活。 絶対関連していきますから、それを提案していきたいと思います。 お花ができても、インテリアがめちゃくちゃだったら台無しですからね。

  ― サプライズはうれしい ―

これからの夢は、日本の男性がお花の意識を高めてくれるように その文化が浸透してくれたらうれしいですけどね〜。 具体的には、男性が買いやすいギフトのアイデアなどを作り始めて 身近な男性から変えていきます。 もうだまされたと思って、一回やってみてと言いたい。(笑) 効果絶大です。 女性は、みんなわかっていることなのに男性は、わかっていないことなんです。 実はですね、私のようにフローリストを仕事にしている人って 花をあんまりもらったことがないんです。 みんなやっぱり、値踏みされそうとか思って敬遠されちゃうんですけど。

そんなフローリストの私に主人が毎年、サプライズで花を送ってくれるんです。 それはやっぱりうれしいですよね。 お花もうれしいんだけど、お花の後ろにある隠された気持ちとか行動とか そういうのに女の人は弱いのよ。 アンケートとった時でもお花をもらうときどういった時が一番うれしいかというと やっぱりサプライズでもらうのが一番うれしいわけ、 何でもない日に急に「はい」ってもらうのが「えっ!何々?」って これはもう、100人中100人落ちるよね! みんなそれされたら、弱いんじゃないかな〜 こういったことをメディアなどいろいろなところから伝えて 一歩一歩やっていきたいです。

― 世の中を幸せにする第一歩 ―

結局、男性からお花が贈られることが習慣になると 夫婦仲とかも幸せになると思います。 ちょっとけんかしちゃっても一本の花で 「ま、しょうがないね」って許せちゃえばギスギスしてこないじゃない。 ちょっと話が飛ぶんですけど、家庭の中にお花があるお家では 統計的に犯罪があまりおきないんですって、これ警察の人に聞いたんですけど。 お母さんが少しだけ気持ちに余裕があって、お花を活けていたら お家の中も雰囲気が違うと思うんですよね。 花を飾るとか贈るという習慣は、世の中を幸せにする第一歩だと思う。 「お花の力を借りて幸せを見つけたい」って生徒さんがおっしゃったんですけど 本当にいい言葉だと思います。
  ― お花をはじめたい人へメッセージ ―

いますぐはじめましょう。 やりたいんだけど・・・と言ってあれこれ理由をつけてる人は 結局やってないんですよ、一つも。口だけなの。 それはつきつめて考えると現実逃避だと思います。 何々があるからできないと言うんじゃなくて、 今の自分は何からできるかっていうことを逆に考える。 そうすると働いてるからお花の仕事ができないのだったら、 習っておくでもいいし、フランスに花を見に行くでもいいじゃないですか。 今できることからやっていく。 そのために準備していたことは、後々必ず活かされますから。 ほんとに「お花を勉強したい、仕事にしたい」という気持ちが強ければ、 ある意味いい無理をしてほしい。 いい無理をやって、体は疲れるけど気持ちがすっきりする無理ならやってもいいと思う。 ちっちゃい一歩一歩なんだけれどもそういう人が自分の夢をつかむと思います。

■一言ヒアリング

[好きな色] 白、紫
[好きな食べ物] お寿司
[好きなブランド] 特に無いんです
[好きな雑誌] ELLE DECO
マリクレールメゾン
[好きな音楽] ボサノバ ジャズ
[よく行くところ] 自由が丘
[健康で注意していること]
寝れるとき寝ること
[好きな言葉] 
花が咲かない日には、根を伸ばす

薄井 美奈子 Minako Usui
mina l'art de vie 主宰。
外資系企業にて 外国人ディレクター付秘書を勤めた後、 フラワースタイリストに転身。
プロデュース会社に所属し、 ホテル、レストラン、イベント等の花装飾、 撮影花のスタイリング、商品企画等を手がける。
渡仏を重ね 7区"Julian"他、 パリのフラワーショップ数店にて研修。
パリのフローリストと交流を持ち、 日本でのデモンストレーションの企画を行う他、 レッスン、マリアージュ装飾、 店舗花装飾アドバイス、 パリでセレクトした雑貨等も販売。
日本の男性のフラワーギフトに対する意識改革に力を注ぐ。

■インタビュー終了後のお話

薄井さんの教室には、おしゃれなこだわり小物がたくさん。 レッスンの後片付け用のほうきとちりとりのセットも ブリキのかわいいスマイルマークでした。
 





ファンの声 ----------------------------------- H.Nさん
先日、薄井さんを取材された際、レッスンを受けておりました。 ついに取材記事がアップされましたね。 楽しみに待ちわびていました! 実は、薄井さんのレッスンを受けるのはあの取材の日が2回目だったので、 インタビュー記事を読んで、薄井さんのフロリストまでの道のりを知りました。 思っていた通りの素敵な生き方をしている方でした。 そんな方のレッスンを受けられるのってラッキーですよね♪


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